有限会社中原温室/アグリカルチャーソリューション
経営者としての「心」を学び、未来の指針に 増産・販路拡大を実現
熊本県熊本市
- 従業員数:11〜50名
- 売上規模:1億〜3億円
熊本市西区に位置する有限会社中原温室は大葉とパセリを中心に栽培。熊本市内と阿蘇に6haの畑を有し、年間を通して出荷をしています。
現代表の作本竜寛さんは、契約栽培を始めた祖父、会社法人として立ち上げた父の事業を次ぐ3代目。果実堂テクノロジーがコンサルティングで携わるようになったのは2年前です。この2年間で、生産量の増加や販路の拡大などを実感しているという作本さんに、果実堂テクノロジーとの関わりについて取材しました。
- 目的
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- 会社のさらなる成長のために挑戦
- 働きやすい環境を整えるマニュアルづくり
- 課題
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- 収量が増えた分の販売先がない
- コストをかけるリスク
- 野菜相手、人相手のためマニュアル作成が難しい
- 効果
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- コストを掛けずに今ある資源で生産量が増える
- 収量が増えた分、付加価値を付けて販売する
- 有機栽培にチャレンジ
「リスクを負わずに成長できる」 会社の今後のビジョン見えた瞬間
祖父の代はニラや米などの栽培を行う農家でした。ただ、祖父が「市場に左右されず、他の人が作っていない野菜を作ろう」と大葉とパセリの契約栽培を始め、父の代で法人化し、私が受け継いで3代目となります。
農業は、土地や建物、技術といった資産を、どのように受け継ぐかだと考えています。だからこそ、それぞれの代で役割があり、中原温室の場合、祖父の代では「栽培する野菜を決め、それを作り続けるノウハウを究める」、父の代では「会社として立ち上げ規模を大きくする」役割がありました。そして自分の代では「会社をさらに成長させ、企業として地域に認められる」こと。この役割を全うしたいという目標があります。
ただ成長したいという思いの一方で「現状、会社として存続できているのに、リスクを背負ってまで成長するのが正しいのか」といった葛藤も。そんな葛藤を抱えているとき、果実堂テクノロジーの高瀬さんとじっくりお話する機会がありました。
高瀬さんと経営について話をすると、それまで私が囚われていた固定観念がほどけてきました。例えば増員しなくても生産量を増やすことができる、そしてただ生産量を増やすのではなく質を上げること。つまり、今ある資源でもっと売上が上がるという可能性の提示をされたんです。
自分が目指す経営の姿が鮮明になり、会社の未来を想像することができました。想像できることは実現できると考え、果実堂テクノロジーさんにコンサルティングをお願いしました。
数多の「言い訳」に逃げない 農業人としてあるべき姿勢を感じた
高瀬さんには、最初に圃場を見てもらい、細やかな箇所まで問題点と改善策についてアドバイスを受けました。
自分も含めて感じるのですが、農業に携わる人の弱さに、「言い訳をしやすい」ということがあると思います。天候、気温、肥料、水など、生産に関わる要因が多すぎて、なにか不具合が出たときに、「虫が多かったから」とか「雨が降らなかったから」など、そこに逃げることができる。しかし高瀬さんはそうではありません。一つ一つの要因を洗い出し、そのときにはどう対処すべきか向き合う姿勢がありました。
漠然としたアプローチではなく、一つ一つを因数分解し、具体的でかつ論理的に課題に取り組む姿にとても共感しました。加えて、「土のにおいがする人だ」とも感じました。大きな企業になると畑や野菜に重きを置かず、心が圃場から離れる人もいます。しかし、高瀬さんは常に現場の課題点に向き合っています。あらためて「この人ならついていっても大丈夫だ」と感じたことを覚えています。
コンサルティングを受け始めて2年。水分管理や工場内のレイアウトなどの具体的なアドバイスによって生産量が増え、また新たな販路についても提案いただき、売上が上がっている状況です。
低コストだからこそ実現の可能性 「消費者の手に広く届く有機野菜」
さらに有機栽培へチャレンジを始めたことも会社としての大きな収穫です。以前から特別栽培に取り組んでいたものの、有機栽培のハードルを高く感じていました。また、有機野菜はどうしても手間がかかり高価になるためマーケットが狭いのではないかとも考えていました。消費者は安価な野菜を好んで、高価な野菜を選ぶ人は少ないのではないかと。
しかし高瀬さんのお話を聞くと、特別栽培と変わらないコストで、かつ高品質な有機野菜の生産ができる可能性が見えてきました。そうすれば、有機野菜は「ものすごい高級品」ではなく、「許容できる価格で安心な野菜」で販売することが可能になります。広いパイがある一般的な野菜の中に有機野菜を持ちこみ、さらに中原温室の野菜をブランド化することができれば、これは強みになると感じました。
大葉は栽培期間が比較的長いため有機栽培をするのはとても難しいです。栽培技術をさらに上げ、チャレンジしていきます。
目指すは「時給2000円」 短時間でしっかり稼げる農業へ
今後の目標としては、代替わりの際に掲げた、「会社をさらに成長させ、企業として地域に認められる」ことです。まずは潜在的な資源を活かし、コストを掛けずに売上を上げていきたいと考えています。
そのためには、現場の無駄をなくすコストダウンも考えたいポイント。昔の働き方といえば「長くすれば偉い」といった考えが主流でしたが、絶対に短時間で同じ作業をできたほうがいい。DX(デジタルトランスフォーメーション)も積極的に取り入れて、効率的な働き方を追求していきます。
最終的には、パート等で働く方でも『時給2000円』の環境を整えたいですね。どうしても農業は最低賃金となりがちで、優秀な人材が集まりにくいのが現実。時給を上げることで優秀な人材を集め、短時間でしっかりと稼げるような農業にしていくのも目標です。
高瀬さんと経営の話をすると、自分の会社の未来、ビジョンがはっきり見えてきます。いま自分が直面している課題や状況は、高瀬さんにとってはかつて通過してきた場所。壁にぶつかったときに相談ができる存在がいることが非常に心強く、経営者としての指針となっています。
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「新しく農業を始めたいが何をすれば…」「経験や勘に頼らず収穫量を多くしたい」といった農業に関するお悩みをお持ちの方に、解決法をご提案いたします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
弊社担当者から
コンサルティングを始める前、たまたま中原温室さんの圃場を見学させてもらう機会がありました。整然とした様子を見て「この会社はまだ伸びる」と感じました。普段から無駄が嫌いでコストを下げたいと常に考えている作本さんが経営されているからこそ、さらに中原温室は大きく飛躍すると信じています。今後ともよろしくお願いいたします。