株式会社Y.Kカンパニー/アグリカルチャーソリューション
土壌分析で肥料代が大幅減! 改善を積み重ねて見据える新たなビジョン
佐賀県唐津市
- 従業員数:11〜50名
- 売上規模:1億〜3億円
株式会社Y.Kカンパニーは、ほうれん草や小松菜、水菜といった葉物野菜を中心に栽培しています。以前から栽培に関するデータを収集してきたものの、うまく活用できない悩みをお持ちでした。2021年冬から果実堂テクノロジーとタッグを組み、生産・作業効率の改善を図り、「5年後に売上5億円」を目指した取り組みを行っています。同社 代表取締役 本田和也さんにお話を伺いました。
- 目的
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- 水分管理をはじめとした生産体制の見直し
- 作業効率アップの方法
- 課題
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- 水分管理・肥培管理の「正解」が分からない
- 生産体制を試行錯誤したものの、うまくいかない
- 有機栽培を始めるために何が必要か
- 効果
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- 年間肥料代 約400万円のコストカット
- 工場の生産体制の改善で、最大2倍の効率アップ
- 有機栽培の取り組みをスタート

行き詰まった社内だけでの改善策。平準化とマニュアル化を目指して
私は、曽祖父から農業を始めた4代目。自分の代から葉物野菜を始め、2011年に法人化を行いました。長年の課題だったのは、水分管理のマニュアル化や作業効率向上。誰にでもわかりやすいマニュアルが必要だと痛感していました。
ただ水や肥料の管理は経験や勘頼りで、そもそも自分たちのやり方が合っているのかどうかも分からない状況。以前から科学的手法には非常に興味があり、各生産状況のデータを取っていましたが、それをうまく生かしきれてない現状がありました。また工場での生産体制においても自分たちで改善を繰り返してはいたものの、思うような成果を得られず「どん詰まり」感がありました。
以前、視察した際に聞いた「水分管理をしっかりしていれば、雑草は少なくなる」という話が忘れられず、打開策につながるヒントを得たいと2021年に改めて果実堂テクノロジーさんを視察することに。長年の悩みだった農業の平準化・マニュアル化について相談をしたのが、一緒に改善を行うきっかけでした。


土壌分析で年間400万円のコストダウンへ。「見える化」を起点に生産量向上へ前進
まずは課題だった「生産体制」と「作業効率アップ」に着手。
生産体制については土壌分析から始まりました。土壌分析の結果、当社の畑における過剰な成分・不足する成分が明確になり、本当に必要な施肥の配合と量が分かりました。それに従って施肥を行うと、作物の品質に問題なく、散布する回数も減り労務負担も減りました。年間で計算すると肥料代だけで400万円近く削減されかなり大きな手応えです。
さらに、水分管理においても細かいマニュアルを作成していただきました。土の状態を具体的に「見える化」。水をやるタイミングが明確に示され、自信をもって水分管理ができるように。さらに畑ごとに微妙に異なる土質に応じて複数のマニュアルを作成いただくなど、いたれりつくせりです。まだ取り組んで日は浅いのですが、生育のムラがなくなってきており、これからの生産量向上に期待しているところです。


機械を「減らして」効率倍増! 見えてきた「売上5億円」のビジョン
加えて、作業効率の見直しも実践。工場内の作業を確認してもらいボトルネックを洗い出してもらいました。すると、「大型の計量器は不要、2台あった根切り機は1台にする」という助言が。実際にやってみると機械が減っているのにスムーズに流れるようになりました。作業効率は最低でも3割から最大2倍の生産効率向上となりました。機械を増やすのではなくむしろ減らして、かつ生産効率が上がったことに驚いています。
こういった取り組みによって、実感としては今のペースで行くと売上が初年度で年間2,000〜3,000万円ほど積み上げられるのではないかと考えています。1年後に2億円、3、4年後には3億円、そして5億円のビジョンが見えてきました。
また、改善施策以外においても、有機栽培へのチャレンジも進めています。以前から減農薬に取り組み、特別栽培農産物の認定を受けていたものの、さらに厳格な有機JAS認証への準備は整っていませんでした。まだ審査を受ける入り口の段階ですが、有機栽培に適合した資材について、豊富な知識と実績をお持ちの果実堂テクノロジーさんから具体的なアドバイスをいただいています。


農業のマイナスイメージを解消し、地元農業の活性化へ
法人化して以来、最終的な目標のひとつとして「地域の活性化」「地元での雇用機会創出」を掲げています。当社が位置する唐津市浜玉地域は、自然環境がよくすばらしい場所ですが、若い人がどんどん外に出ているのが現状です。産業としては農業が中心ですが、若い人には農業がまだ魅力的に映らないのかもしれません。
しかし果実堂テクノロジーさんとともに農業の改善を行う中で、地域活性化の具体的な方向性が見えてきました。生産管理のマニュアル化や効率アップにより「きつい」「大変」「やり方が分からない」といった農業のマイナスイメージを解消できるはずです。効率がよくなり、さらに生産量が上がれば雇用機会が増え、給与の面でも魅力的になるでしょう。そういった形で地元の農業の若返りを図り、地域貢献ができればと考えています。
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「新しく農業を始めたいが何をすれば…」「経験や勘に頼らず収穫量を多くしたい」といった農業に関するお悩みをお持ちの方に、解決法をご提案いたします。
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弊社担当者から
常に「どうしたらいいか」を考え、実行する力がある本田さん。こちらが工場のラインについて「こうしてみましょう」と提案すると、その場でラインを止めてすぐに実行してくださった姿が印象に残っています。地域を盛り上げたいといった大きな目標に向かって、本田さんはその実行力で、地域を引っ張っていく人だと感じています。